心臓腫瘍のハムスター

ハム
ハム
呼吸障害と運動不耐症、嗜眠で来院されたハムスター。
高齢のゴールデンはHCM(拡張型)とHCM(肥大型)共に出得るため心臓エコーをしたところ、心筋症と左房に心筋よりやや低エコーの占拠性病変が見られた。病変は隣接する房内心筋と連続性があり可動性もなく内腔はやや低エコーであるもののプローブを動かしていくと周囲の組織は心房の筋肉のエコー原性と同等でかつ連続性がある事を踏まえ左房内心臓腫瘍の可能性と診断した。
このハムスターは腹部に腫瘍は確認されなかった。

ハムスター心筋症は遺伝疾患モデルで証明されており、病気の成り立ちは他の動物の心筋症と同じく左心機能障害から神経体液性因子活性化(レニンアンギアテンシン系や交感神経系)を生じ、心臓リモデリング(心筋細胞壊死とさらに伴う繊維化)、血管収縮や血管抵抗増大という心臓にとって負のスパイラルが起きる。
よって治療も概ね同様となる。 

齧歯類の筋肉の腫瘍として末梢に生じた横紋筋肉腫は経験があるが心臓に生じた心房内腫瘍は経験乏しくまた海外の論文でも統計は出ていないと思われるため今後の専門的知見が待たれる。