気管支肺胞洗浄

獣医師になり割と早い段階から診させて頂いているご家族の新しい猫が数年前からの咳を主訴に来院された。

我々獣医師は年単位の慢性の咳を示す症例に対し、鑑別診断を複数あげ除外するために検査入院チェックをいれる。

まずはレントゲン画像診断。これから得られる情報も非常に多い。
この子は診断の末、アレルギー性呼吸器疾患であったが、一般的に猫喘息では肺の過膨張、肺野透過性の亢進、横隔膜平坦化や尾方移動、呼気時収縮不全をあらわした肺のレントゲン所見がよく見られる所見である。担当させてもらったこの子も同様である。
採取された気管支肺胞洗浄液。麻酔をかけ、採取した液を原液と細胞診用の計2本用意する。
細胞に影響が出ない速度で細胞を遠心抽出する。
BALの細胞診
マクロファージ75%.好酸球17.5%.好中球4.5%.リンパ球2.5%.肥満細胞0.5%.わずかな線毛上皮細胞で構成されていた。またヘモジデロファージも散見された。

これらスクリーニングをする事で得られる情報は多く、治療薬剤の選択にも非常に有益である。猫の慢性発咳の子には血液検査やレントゲン、PCR、CT、BALを多角的スクリーニングとしてお薦めしている。


近い未来、バイオマーカー1つで猫のアレルギー性呼吸器疾患を診断できる時代が来ると信じている。