脾臓摘出術

本日のオペ室は脾臓摘出術

上の写真のぽこっと下に出っぱった丸っこい部分が腫瘍である。

以前にも書いたが、非常に良くある腫瘍なのでもう一度。

脾臓は胃袋の裏にある長細い臓器で、古くなった血を壊したり、免疫を担ったり、血液を溜めておく場となったり造血したりする働きをもつ。

犬の脾臓腫瘍の約80%を占めるのが血管肉腫という悪性腫瘍。この腫瘍に対し脾臓摘出を行った症例の生存期間中央値は19-86日とされ、抗癌剤と併用した場合でも生存期間は180日前後とされる。またステージ1でのまだ転移がみられない段階で摘出のみを行った研究では平均中央生存期間は86日、術後2ヶ月後生存率は31%とされる。
多くは症状がなくエコーやCTで偶然見つけられる事が多い。画像での良性や悪性の判断は一定の傾向はあるもののなかなか判断は難しいが、一定の傾向を示しておく。
脾臓全体が腫れ上がっているものは多くは脾鬱血、肥満細胞腫やリンパ腫などであり、1箇所だけ腫れてる場合は結節性過形成、血腫、血管肉腫、線維肉腫や平滑筋肉腫である事が多い。

また血腫や結節性過形成と呼ばれる腫瘍では無いものであることもある。しかしこれらであっても破れることがあり、場合によっては重度の血圧の低下をまねきショクで命に影響が出る事があるため摘出しておいた方が安全である。
脾臓