身体の隅々に血液がいきわたらなくなった状態。これにより酸素欠乏がおこりARDS(急性呼吸促拍症候群)や腎臓の虚血による急性腎不全、DIC(播種性血管内凝固症候群)、MOF(多臓器不全)がおこります
【病態】
・低循環(hypoperfusion)
⇩
・細胞の低酸素状態
⇩
・嫌気性代謝
⇩
・細胞死
⇩
・臓器不全(organ Failure)
・ARDS
・AKF
・DIC
・MOF
⇩
・患者さんの死
【分類】
A)循環血液量減少性ショック(Hypovolemic Shock)BP⇩+HR⇧
・出血(Hemorrhagic)
□外傷
□出血(外傷性ショックの90%を占める理由)
外出血を探し→内出血(下記のMAP)を探す
胸腹骨盤→なければ緊張性気胸、心タンポ
→胸部レントゲン→骨盤レントゲン→腹部超音波FAST
※超致死的胸部外傷1―ケガキタドキドキ(大量血胸、開放性気胸、緊張性気胸、
心タンポ、Flail chest、気道閉塞)
※超致死的胸部外傷2―おーきーshock心配だ(横隔膜ヘルニア、気管損傷、食道損
傷、心挫傷、肺挫傷、大動脈断裂)
□血胸(M:Massive HTX大量血胸)
□腹腔内出血(主に肝臓、脾臓、腸間膜で腸間膜はゆっくり)(A:腹腔内出血)
□骨盤骨折(←意外と忘れられがち)場合によってはCT(P:pelvis後腹膜出血)
・ルート確保時、前肢から(後肢から骨盤後腹膜血管系破損がありうる場合)
・尿カテ留置時、尿路損傷注意(事前info)
・前方骨盤輪骨折→膀胱尿道損傷
・後方骨盤輪出血→大量出血(仙腸関節解離、恥骨結合)
※骨盤は輪っかだから1か所折れればもう1か所も折れる(ドーナツみたい)
Open book,Malgaigne骨折、Lateral compression骨折
この場合対処は同じで下記対処①~④を行い後、骨盤創外固定
□稀に緊張性気胸、開放性気胸、心たんぽ、横隔膜ヘルニア等
□消化管内出血(下血吐血)
□腫瘍破裂など
・循環血液量減少
⇒血が足りない⇒末梢血管抵抗⤵⇒心拍数増やす+アドレナリン出して末梢血管絞り脳
と心循環確保(血圧低下+脈拍数増加=循環血液量減少性ショック)
☞心停止直前まで意識は保たれる(首から下の外傷の特徴)。
対処:①酸素投与②2か所留置③クロスマッチ④以下の処置しながら⑤出血源の探索
〇輸液(MAP60~65mmHg目標、SBP80~90mmHg)出血ありなら上げすぎな
い事!(Ringerか生食大量急速輸液)
→輸液の反応の評価
A:Rapid response(急速反応)=体液の20%以下の出血
B:Transient response(一時的によくなり点滴オフにすると悪化)=20-40%以内
C:minimal response(改善ない群)=40%以上
〇輸血
〇止血(手術)
〇原疾患の治療(膵炎、火傷、などなど)
△昇圧剤(元々血管収縮している状態だから足しすぎると腎血流さらに低下)
血を足すか穴をふさぐ事優先
×ラシックス(循環血液量不足で利尿ないからと言って投与しない)
※腹腔内出血はできるだけ下肢でルートをとらないで前肢で!
B)心原性ショック(Cardiogenic Shock)
・内因性(心臓自体の問題)
□急性心筋梗塞
□心筋症
□心筋炎
□重症不整脈(完全房室ブロック)→脈拍数低下(心原性はさまざまだがブロックは⇩)
・圧迫性(閉塞性)(心臓外からの圧迫)
□緊張性気胸(SPO²低下、皮下気腫、頸静脈怒張、呼吸困難、頸部気管変位、患側呼吸
音聞こえない、血圧低下、呼吸困難、患側胸郭膨隆)
・呼吸困難+皮下気腫+ BP⇩+HR⇧→低酸素血症+チアノーゼ
・血圧がストンと落ちる気胸は緊張性と認識。
・患側の呼吸音は聞こえない(呼吸音に左右差)
・打診でコンコンと鳴る
・レントゲンで気管がひどく変位、横隔膜が押される
・皮下気腫(握雪音)
・頸静脈怒張(胸腔内圧上昇で脳から帰ってくる血がうっ滞)
☞気管挿管し陽圧換気するとどんどんバイタル悪化(空気が胸腔に漏れ)→穿刺
で体外に空気出す→血圧もどる
原因□胸部外傷
□気管支喘息
□COPD⇒人工呼吸器使用し始めて悪化したらこれか気胸
□人工呼吸器使用
□開放性気胸
胸壁に穴が開き、息をするたびに外の空気が出たり入ったりして陰圧にならないた
め肺が膨らまない状態。(気管支の2/3径の穴があれば開放性になりうる)
☞トロッカーを挿入後、穴にはサランラップをあてがい、3方向だけテープで封
鎖し、一方向は開けておく
□フレイルチェスト(動揺胸郭)
3本以上の肋骨が2か所以上で骨折した時におきる。
・息を吸うと胸が膨らまずに凹む
・症状の中心は呼吸とともに起こる痛み浅速呼吸+肺挫傷→低酸素血症
☞挿管+鎮痛ケア+内固定+肺挫傷ケア
□心タンポ
□急性心筋梗塞
□外傷性心破裂
□心外膜炎(心嚢液貯留)
☞Pericardiocentesis
□肺塞栓
下肢深部静脈血栓症(Deep Vein Thrombosis)→肺動脈
□長期臥床
□肥満
□悪性腫瘍
□骨盤付近の手術
□妊娠や分娩
□ステロイド
□CVC等
□横隔膜ヘルニア
⇒心臓から前に血が流れにくい⇒うっ滞で中心静脈圧が上がる(V圧が高くA圧低い)=
頸静脈怒張等(特徴として中心静脈圧上昇)
C)敗血症性ショック(Septic shock)
・Hyperdynamic State(Warm Shock)
⇒末梢血管開く(Distributive Shock:分布異常性ショック)=末梢血管抵抗低下
・Hypodynamic State(Cold Shock)
⇒末梢血管収縮
D) アナフィラキシーショック(Anaphylaxy Shock)
・脈の緊張無し
・頻脈
・眼瞼結膜充血
・皮膚が発赤
・咽頭浮腫(血管性浮腫)⇒呼吸困難
・聴診でWheezing(笛様音)⇒気管支攣縮(気管支喘息と同じ)⇒呼吸困難
★血圧低下+上部下部気道狭窄がこのショックの症状
対処:〇大量輸液(目標MAP90mmHg)
〇高濃度酸素投与
〇エピネフリン(ボスミン)⇒過剰投与で心室細動注意
α作用⇒拡張した血管を収縮させる⇒血管性浮腫の治療
β作用⇒気管支拡張作用⇒気道閉塞の治療
c-AMP上昇⇒肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質放出抑制
〇副腎皮質ホルモン、H1H2受容体拮抗薬、気管支拡張剤
※このショックは循環不全と呼吸不全が両方起こる
E) 神経原性ショック(Neurogenic Shock)主に脊髄損傷脈拍数低下
⇒末梢血管開く(Distributive Shock:分布異常性ショック)=末梢血管抵抗低下
頸部損傷+血圧低下+脈低下=神経原性ショック(交感神経支配がなくり末梢血管緩む)
・肛門弛緩
・陰茎勃起(副交感神経支配)
対処:〇輸液
〇原疾患の治療(頸部疾患)
〇昇圧剤
※ただ血管が緩んでいるだけ、血管内ボリュームは通常でHypovolemicでは無い
⇒過剰輸液すると血管収縮始まった時前負荷が急増する。輸液ほどほどに。