モノクローナルガンマパチー

10歳ラパーマ♂。食欲低下を主訴に来院。高齢でかつ被毛粗剛なため、全身検査およびウイルス検査を提示し実施。軽度高BUN血症および重度高タンパク血症、低コレステロール血症が見られた。Prf(蛋白分画)を実施したところモノクローナルなγグロブリンの増加が見られたため、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、髄外形質細胞腫、原発性高γグロブリン血症、念のため感染を鑑別するため、猫で実施可能な範囲でリンパ球表面マーカーおよびIgG定量、猫炎症マーカーおよびA/G比、FIPPCR、レントゲン検査、超音波画像診断、感染ウイルスに対するPCR検査等を実施した。臨床上最もよく遭遇するガンマグロブリン血症は猫伝染性腹膜炎であるため極めて精密に精査を実施したが発症を示唆する所見は無かったら。その他の結果カリシウイルス陽性であり、その他大幅な異常を認めなかった。骨髄生検は現段階で希望されなかった。検査結果、腫瘍の疑いが低い状態と判断されたためドキシサイクリン療法を行い、定期的にPrf検査を実施している。

現在、食欲出て、モノクローナルガンマパチーも徐々に数値が安定してきている。ちょっとカメラ目線してくれた。


関節リウマチ

3歳シーズーダックスミックス。両前肢の関節痛、歩行様式の変化を主訴に他院から検査紹介をうけた。来院時、典型的な『ベタ足』をしていた。

鎮静下で関節液採取、血液検査、ANA(抗核抗体)、CRP(炎症蛋白)、RF(リウマチ因子)、レントゲン画像診断、覚醒後に神経学的検査法を実施した。写真は関節液採取を実施している様子。採取された関節液はその特徴をとらえるため、細胞診断および細菌培養検査を実施した。

 

精査のため採取された関節液。通常の関節液に比し、低粘性でさらさらしている。


免疫介在性関節炎

引っ越してきたことを機に来院されたプードル。足の形状が重度の変形を起こしているため問診をとると二年前から足を痛がることが多いとのことで精査をすすめた。血液検査とレントゲン検査、関節液細胞診、自己抗体検査から多発性免疫介在性関節炎と診断された。

 


SLE(全身性エリテマトーデス)

えりてま

咀嚼筋炎

若齢ラブラドールレトリーバーが食欲不振、開口困難、吐き戻し、左右目の上の筋肉が凹んできた事を主訴に来院された。全身のだるさや元気消失、発熱もみられたため犬種や症状から咀嚼筋炎を疑い血液検査で筋肉の破壊があるか、咀嚼筋を破壊する抗体を保有しているかの検査を実施した。
咀嚼筋とは固いものをかじったり口を閉じる働き役割をしている顔にある筋肉である。咀嚼筋炎とはそこに生じる筋炎の事を指すが、多くが自己免疫性である。
通常咀嚼筋炎は急性期と慢性期に分かれるが、本例は急性期から慢性期の移行期と判断した。その他の検査としてCT.MRI画像診断、筋生検による診断があるが、費用と侵襲度の簡単から投薬を優先するケースがこの疾患の場合現実的に多い。本例でもステロイド療法を実施し、比較的短期で大幅な改善をみたため本例においては一度寛解期として休薬を実施している。

免疫介在性血小板減少症(ITP)

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免疫介在性溶血性貧血(IMHA)

6歳ミニチュアシュナウザーちゃんが2日前からぐったりして数回嘔吐を主訴に来院されました。

診察室内の視診で口腔の粘膜が蒼白で貧血などを疑い各種検査を行いました。
赤血球量は12%を切っています。
この症例では重度貧血でみるMCHC.MCVの上昇は見られません。
赤血球自己凝集試験陽性である事から赤血球の表面に免疫抗体により架橋された結果赤血球が固まってしまう現象(赤血球自己凝集)が見られる。
血液塗沫検査においては赤血球自己凝集、赤血球ゴースト、球状赤血球の出現などIMHAを疑う所見が見られた。
念のため自己抗体検査および再生所見の確認のために網状赤血球の測定を行いました。
この症例では心臓エコーで右心房拡大、心室中隔扁平化(拡張期限定)、PA/AOで肺動脈拡大が見られ肺動脈血栓などの可能性を踏まえD-dimerの検査も合わせて行いました。
貧血には感染症に由来したものもあるため血液を用いた血液PCR検査を実施します。
この症例では異常は認められませんでした。