胸水腹水検査

胸腔や腹腔など体の中にある空間に液体が貯留したケースにおいて、そもそも液体が溜まる理由が何かをしらべる検査です。液体貯留した部位から液体を採取し、細胞学的検査、生化学的検査、比重検査、培養検査、ウイルス遺伝子検査等を実施し、解析をすすめます。

通常、体液は漏出性と滲出性に分類されます。漏出液は漏出性と変性漏出性にわかれる。炎症性滲出液には感染性と非感染性にわかれる。

 

外観

色調、白濁の有無、粘ちょう性等を確認します。

比重検査

液体のもつ重さを検査します。1.015以下で漏出性、1.018以上で滲出性と評価します。

蛋白量

3g/dl以下で漏出性、それ以上なら滲出性と評価します。

LDH

体液中のLDHを測定し、200IU/l以下である場合は漏出性、以上なら滲出性と評価します。

TG(中性脂肪)とTcho(総コレステロール)

液体が乳靡(白濁)状である場合、リンパ液漏出がないかを確認するため、TGとTchoの定量を実施します。

ウイルスPCR定性検査

液体貯留を起しうるウイルス(腹膜炎や胸膜炎、血管炎の起因ウイルス)の有無を遺伝子レベルで検査します。

細菌培養検査

体液中に細菌がいるか液体を培養検査し、菌を分離します。それによって抗生物質の選択をします

 

真菌培養検査

真菌(カビ)による胸膜炎、腹膜炎がないか確認するため、液体を真菌培養します。

全細胞数

3×10⁹個/L以上で炎症性滲出性(そのうち5~15×10⁹/Lで非感染性、30~200×10⁹で感染性滲出液(膿胸)のうちわけ)、3×10⁹/L以下で漏出性と仮診断する。ただし 変性性漏出液は5×10⁹/Lに至るため滲出液との鑑別を要する。またカウントに自動血球計算計(セルタック)を用いる場合、単位が10²/μlであるため補正が必要である。L=10⁶μLである。

 

細胞学的検査

採取された体液中にどのような細胞が含まれるか検査することで、炎症性か、腫瘍性か等の確認をします。特徴としては非感染性滲出液では非変性性PMN(変性していない多形核球)である好中球&マクロファージである。感染性滲出液は通常激しい変性を伴った好中球、しばしば細菌も確認される。