他院から皮膚疾患が治らないため転院してきたポメラニアンの皮膚の写真。皮膚表面が壊死し蛆がわいていた。精査したところ、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、肝臓腫瘍、脾臓腫瘍、肺転移性腫瘍、前立腺肥大、皮膚角化亢進が確認されたため飼い主と相談した結果、皮膚疾患とそれを増悪しうるホルモン病治療、肝臓病治療を希望されたため、蛆排除後、副腎皮質ホルモン生成阻害薬、亜鉛補充療法、肝臓庇護薬療法、抗生物質療法、薬用シャンプー洗浄を行った。現在非常にきれいになりQOL向上を可能としている。
治療過程。化膿し壊死した皮膚と被毛を全て除去し、内服と外用薬でケアーしている。皮膚皮膚の化膿は止まり、以前みられた異臭も消え、蛆は完全にいなくなった。中央部の皮膚の角化が止まってきている
膿皮症のうち趾間部に好発する深層性膿皮症。適した抗生剤内服により改善が見られる。
抗生剤の選択は一般的に表在性に準ずるが患者の抗生剤使用歴などにより薬剤抵抗性が強いと判断された場合は薬剤感受性試験を実施し、処方を検討すること。
天疱瘡は自己免疫性水疱症の一群であり、自分を破壊する抗体を作ってしまうことで、角化細胞の接着の障害が生じ、皮膚や粘膜に水疱、膿疱およびびらんという皮膚が削れた状態を認めます。
症状により尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡に分類されます。
犬猫で最も多いのは落葉状天疱瘡です。瞼、鼻の上、耳介および肉球に病変が見られます。ただし、重症の子は全身の皮膚に病変がみられることがあります。
イヌやネコの尋常性天疱瘡は皮膚、粘膜、粘膜-皮膚結合部に水疱、びらんが形成されます。
腫瘍随伴性天疱瘡は悪性腫瘍に伴って発症することが知られています。
診断は典型的な臨床症状および感染症の除外、細胞診ならびに皮膚生検によって診断されます。病理組織学的に棘融解細胞(表皮から遊離した細胞)を伴う表皮内水疱・膿疱がみられ、角化細胞の細胞膜にIgGの沈着がみられた場合は、天疱瘡と診断が下されます。天疱瘡を発症したイヌやネコの多くは、生涯にわたり免疫抑制剤を投与する必要がありますが、落葉状天疱瘡の症例の一部では抗炎症剤の外用剤だけでも症状が改善することがあります。
8歳ノルウェイジャンの子が左後ろ足のパットを舐め崩して来院。話を聞くと過去何度か肉球を舐め崩し動物病院を受診したことがあるとのこと。
猫の複数の肉球の軟化、出血、潰瘍などを引き起こす稀な疾患で、免疫抑制剤への反応がある個体が多いことから免疫介在性やアレルギーが関与していると考えられています。FIVが陽性の子も多いため検査しておいた方が良いです。
治療は、軽症例では自然治癒しますが重症例では痛みから歩行に影響出る事もあります。
ステロイドやシクロスポリン、ドキシサイクリンなどの内科療法が有効となる場合もありますが、自壊している場合や瘤状になってると思う場合、外科的に腫瘤の切除が必要です。舐め崩しであればカラー装着と内服薬の治療を診てみる価値があります。