・髄膜腫
髄膜腫は脳の外側、頭蓋骨の裏側にある硬膜という膜から発生する腫瘍で脳を外から圧迫する
・髄膜腫の発生率
髄膜腫は犬猫においめ脳腫瘍の中で最も多い腫瘍
犬の全脳腫瘍の45%、猫は80%
・良性/悪性
ほとんどの場合組織学的には良性。
稀に急速に大きくなる悪性髄膜腫もあり、これは転移することもある。
・症状
脳の圧迫症状つまり食欲低下、嘔吐、頭痛(痛みのために鳴く、ひっかく、頭を振る、家具等で頭を擦る)。
さらに圧迫が進むと痙攣(最も一般的な症状の一つ、犬の脳腫瘍の45%に見られる)、
認知症のような症状(急に攻撃的になる・ひっきりなしに吠える)、歩行障害(不安定歩行・段差を登れない)、
視覚・聴覚・嗅覚障害。
・治療
〜動物種による違い〜
人や猫では完全な外科摘出による根治を目指す。犬ではやや浸潤性が高く、外科的な完全摘出や根治なこともある。そのため放射線と合わせて治療することもある。
〜治療法の詳細〜
治療は手術により腫瘍と周囲の硬膜を摘出。
その他の治療法として放射線療法、または
ステロイド療法などによる対症療法。
組織学的には大部分が良性で増殖スピードはゆっくり。
・合併症
腫瘍周囲の脳の障害、腫瘍周囲を走行する神経の障害、腫瘍周囲の血管の障害、術中出血の合併症、脳脊髄液循環の障害、感染症、全身麻酔に伴う合併症、骨切開・皮膚切開に伴う合併症(美容面も含めて)
・予後
1、緩和療法(ステロイド、浸透圧利尿剤、抗てんかん剤、抗がん剤)
脳腫瘍全体 :中央生存期間6~119日
2、外科手術
犬の髄膜腫 :中央生存期間138~230日
猫の髄膜腫 :中央生存期間485~830日
3、放射線
放射線単独
脳腫瘍全体 :中央生存期間140~370日
外科手術との併用
脳腫瘍全体 :中央生存期間300~1150日
※緩和療法で3.9ヵ月、外科手術のみで7ヵ月、外科+放射線で18ヵ月との報告も