【定義】:犬155mEq/L.猫162mEq/L以上
⇒通常170mEq/L超えると神経症状が出るとされる
※犬の塩分過剰摂取による中毒発現量2-3g/kg、致死量4g/kgとされる。
【分類】
1:循環血液増加性高ナトリウム血症
2:循環血液正常性高ナトリウム血症
3:循環血液量減少性高ナトリウム血症
【各論】
1:循環血液増加性
主に塩分過多
血液浸透圧⤴etc⇒細胞内水分の血液細胞外液への移動⇒循環血液量⇑
・食塩過剰投与
・高張食塩水投与
・高アルドステロン血症(稀)
・副腎皮質機能亢進症(稀)
・メイロン投与
治療は
〇急性(食塩投与2-4時間以内)※末梢の浸透圧低下させても脳循環を保てない。
血漿Na濃度が1-2mEq/L/時以上低下しない速度でケア
5%デキストロース液とループ系利尿薬と併用する方法でNa排泄を促進できる
〇慢性(食塩投与4時間以上)は脳内に高濃度の特殊浸透圧物質があるためさらに慎重に治療しないと脳浮腫が起こりやすいため血漿Na濃度が0.5mEq/L/時以上下げない様に治療する。
※輸液1Lで変化するNa濃度=[輸液中Na濃度-症例の血中Na濃度]÷[(BW×0.6)+1]
※一日必要輸液量=一日に元に戻すNa量÷輸液1Lで変化するNa濃度
一日に元に戻すNa量とは先に述べた1mEq/kg/hなら24mEq/kg/dayである。
→2-4時間ごとに採血
〇肺水腫や腎不全乏尿など起こしている循環血液増加性は輸液による管理で悪化しうるためループ系利尿薬を使用。犬:フロセミド2-4mg/kg TID、猫:1-4mg/kg SID-TID
2:循環血液正常性高ナトリウム血症
電解質喪失<水分喪失
・脱水・・発熱、中枢神経系障害、飲水制限等
・中枢性尿崩症
・腎機能障害
・熱中症
・火傷
・飲水不足
・衰弱
3:循環血液量減少性高ナトリウム血症
水分過剰喪失→細胞外液量⤵→血圧低下
・下痢、嘔吐
・ループ系利尿薬
・急性腎不全の多尿期
・糖尿病
・サードスペースへの移動(腸閉)
・膵炎
・腹膜炎
☞これらにより低張液を失い、浸透圧を正常に保てなくなる。
【症状】
脳細胞の水喪失、脳縮小による中枢神経機能不全
① 初期は嗜眠、沈鬱、無目的発声
② 筋硬直、振戦、ミオクローヌス、全身性の反射亢進、
③ 昏睡
※慢性循環血液量増加性の場合、脳内に浸透圧物質が存在するため急激に進行しないことが多い