低血糖

point:①低血糖は血液検査で検出されることが多いが、それに症状(神経系エネルギー 

    不足⇒虚弱、発作、運動失調、振戦etc)。

   ②検査誤差やエラーの確認・・・ポータブルは真の血糖値より-30~50

    mg/dl位の誤差がでる。また室温放置検体は7mg/dl/hくらい低下する

 

原因:①重度感染症(敗血症)⇒感染症治療への反応&血液培養

   ②飢餓状態

   ③若年性低血糖

   ④トイ犬種低血糖

   ⑤激しい運動

   ⑥肝疾患⇒肝臓パネル&画像診断

   ⑦悪性腫瘍⇒腫瘍の検索&プレドニゾロン療法

                   □インスリン分泌過剰→インスリノーマ

     □インスリン様成長因子(IGF-1-2)の活性化

      ・膵外腫瘍

        ・肝細胞癌・肝細胞腺癌・平滑筋腫・平滑筋肉腫・血管肉腫・リンパ腫・白血病・形質細胞腫・多発性骨髄腫・唾液腺腫瘍・メラノーマ

      ・膵外分泌腺腫瘍

   ⑧インスリノーマ(腹部エコーでの検出率は30-50%程度)⇒CTがよい

   ⑨アジソン病⇒ACTH刺激試験

   ⑩胃完全摘出、胃腸吻合

   ⑪医原性

   ⑫検査エラー⇒再検査

   →どれにも該当しないものは特発性低血糖

参考計算式

      血糖値(60mg/dl未満)の場合のみ→AIGR測定へ

                             測定法:AIGR=[血中インスリン値(μU/ml)×100]÷[血糖値(mg/dl)-30]

            ※血糖値が31未満の時は分母を1とする。

 

        解釈:30以上はインスリノーマの可能性が高い。10以下は可能性が低い。間はグレーゾーン。

 

治療法

 (通常の低血糖)  

   25%glucose 2ml/kg IV

   5%glucose IVCRI

   経口グルコース&頻繁給餌

   グルカゴン(グルカゴンG・ノボ)

          5~10ng/kg/min(0.3~0.6μg/kg/h) IVCRI

 (インスリノーマ)

   緊急時:ステロイド1㎎/kg&25%glu輸液⇒一般にインスリはこれでも100いかない事多い。

       その場合はグルカゴン0.3μg/kg/hrを追加し、安定してきたら0.06μg/kg/hrに減量し、食餌にジアゾキシドを混ぜてみる

   

   維持期:下記のうち2単独⇒2+3併用⇒ダメなら4、5、6を使え 

   1:少量頻回給餌

   2:プレドニゾロン0.3~0.5㎎/kg 2time/day PO or SC

           3:ジアゾキシド5mg/kg 2time/day PO(60mg/kg BIDまで増量可能。高価)

           4:グルカゴン5~10ng/kg/min(0.3~0.6μg/kg/h) IVCRI

   5:ストレプトゾトシン500mg/m2 2時間以上かけてIVCRI(使用前後2h  

    輸液して利尿させること。必要あれば3週間ごと)

   6:オクトレオチド(サンドスタチン)10~40μg/head  3time/day SC(イン

    スリノーマのソマトスタチン受容体の有無により、反応はまちまち。耐性

    出来る)or2μg/kg/SC BID

   7:外科摘出(犬で生存中央期間は12カ月、転移ありで手術を行った場合の1年以上の生存期間は20%)

    ※glucoseは経口でもIVでもインスリノーマのインシュリン分泌を増長する

     ため、その場しのぎの治療であることに留意せよ

      ※1の給餌法はドライか缶詰がよい。半生は糖価が高く、インシュリン分泌

     を助長する。一日カロリーを4~6回分割する。