血液検査(血液生化学検査)

電解質など

Na

 高値・・・水分喪失

        不感蒸泄↑(昏睡、高体温、水分不足)

        腎臓からの喪失(尿崩症、浸透圧利尿、糖尿病)

        腸からの喪失(浸透圧性下剤)

      Na蓄積↑

        高アルドステロン血症

      Na摂取↑

      医原(ミネラルコルチコイド、Na輸液、水分補給なし浸透圧利尿)

      アーティファクト(検体放置)

 低値・・・水分過剰

        飲水過多

        電解質のない輸液

        循環血液量低下(ネフローゼ、右心不全、肝硬変(腹水))

        ADH分泌(近位尿細管の水再吸収↑、遠位尿細管の水排泄↓)

        ADH異常分泌(特発性、中枢性、肺疾患)

      Naまたは水の移動

        高k血症・・細胞内へのNa移動

        血漿浸透圧↑・・・細胞から水が出る

      Na喪失↑

        多尿

        嘔吐(特に胃性)

        下痢

        副腎皮質機能低下症(ミネラルコルチコイド↓、尿中へNa↑)

      アーティファクト(高脂血症、高タンパク(>11g/dl))

K  

 高値・・・排泄低下

       無尿~乏尿

       尿路系破裂

       副腎皮質機能低下症

       腎臓髄質障害

      細胞内→細胞外への移動

       ミネラルアシドーシス(高CLあり)

       広範囲な組織破壊

       血漿高浸透圧(高血糖)

      医原性

      摂取過剰

      アーティファクト

       EDTA-2K

       激しい溶血

       検体放置(脱水)

       高白血球(>20万)

       高血小板(>100万)

       秋田犬赤血球溶血

       採決直前の激しい運動      

      

 低値・・・Kの喪失

       嘔吐

       下痢

       腎臓からの喪失

       尿細管アシドーシス

       ミネラルコルチコイド過剰

        アルドステロン過剰症(稀)

        クッシング症候群

      Kの細胞内への移動

       急性アルカローシス

        呼吸性急性アルカローシス

        医原性急性アルカローシス(重炭酸投与)

      医原性

       重炭酸投与

       インシュリン投与

       輸液性希釈

       利尿剤投与

      希釈

      アーティファクト

       高脂血症

       高タンパク血漿(>11g/dl)

       高BUN(>115mg/dl)

       高血糖(>1000㎎/dl)

Cl

 高値・・・高Naと同じ原因

       脱水

       高Cl性代謝性アシドーシス

      医原性

       CL過剰輸液

      アーティファクト

       激しい運動

       Hb

       Bil

 

 低値・・・Na喪失と同様の原因

       胃性嘔吐

       副腎皮質機能低下症(アジソン)

       利尿剤投与

      アーティファクト

       高脂血症

       高タンパク血症

       溶血

 

 高値・・・腎不全

      食事性

      上皮小体機能低下症

      組織損傷または壊死

      骨吸収

      食欲不振、嘔吐動物での特発性

      幼若動物

      医原性

       ビタミンD過剰

       リン過剰の製剤

      アーティファクト

       分離遅延(RBCからの脱出)

       溶血

 

 低値・・・原発性上皮小体機能亢進症

      糖尿病

      ビタミンD欠乏症

      高インスリン

       医原性

       インスリノーマ

      グルコース投与

      アルカローシス

      細胞内へ移動

      食事性

       吸収不良等

      高カルシトニン

      子癇

Ca

 高値・・・肉芽腫性疾患

      腎不全

      上皮小体機能亢進症

      血液濃縮

      ビタミンD過剰症

      骨吸収

      アジソン病

      先天性甲状腺機能低下症

      腫瘍

       血液腫瘍

        リンパ腫

        リンパ性白血病

        骨髄増殖性疾患

        多発性骨髄腫

       骨転移を伴う固形腫瘍

        乳腺癌

        鼻腺癌

        膵臓癌

        肺癌

        その他上皮系腫瘍

       原発性骨腫瘍

        骨肉腫

       骨転移を伴うわないもの

        肛門嚢腺癌

        間細胞腫

        扁平上皮がん

        甲状腺がん

        肺癌

        膵臓癌

        線維肉腫

        乳腺混合性腫瘍

       

 低値・・・低ALB

      腎不全

      子癇

      急性膵炎

      エチレングリコール中毒

      上皮小体機能低下症

      骨へのCa沈着亢進

      食事性

      ビタミンD吸収不良

      高P血症

      低Mg血症

      アーティファクト

       EDTA

       

TP、ALB

TP

 上昇・・・ALB↑+Glob→↓

       脱水

       高脂血症

      ALB→↓

       Glob増加

        ポリクローナルガンモパチー

         抗原刺激、感染

        モノクローナルガンモパチー

         多発性骨髄腫

         リンパ腫

         エリヒア症

 

 正常・・・ALB→

       Glob↓

        初乳摂取不足

        免疫不全

      ALB減少

       Glob増加

        ポリクローナルガンモパチー

         抗原刺激、感染

        モノクローナルガンモパチー

         多発性骨髄腫

         リンパ腫

       Glob正常

        肝不全

        消化吸収不全

        腎臓からの喪失

 

 低下・・・ALB正常

        Glob低下

          免疫不全症

          初乳摂取不足

          幼若動物(<4カ月未満)

      ALB減少

        Glob正常(A/G比低下)

          腎臓からの喪失

          蛋白喪失性腸症

          産生の減少

            肝不全

            飢餓

        Glob減少(A/G比正常)

          出血

          過剰輸液

          蛋白喪失性腸症         

BUNとCre

BUN

 高値・・・GFRの低下

        ①腎前性・・・・・血流低下

        ②腎性・・・・・・腎組織障害

        ③腎後性・・・・・尿路閉塞、破裂

      腎臓以外の原因

        食後高窒素血症

        高たんぱく食

        消化管内出血

        組織異化 

          飢餓状態

          発熱

          ステロイド

          筋肉損傷

          テトラサイクリン

 

 低値・・・生産減少

        肝不全・・・PSS、肝硬変

      排泄増加

        多飲多尿・・・クッシング症候群、糖尿病etc

        水過剰

        妊娠末期

 

 BUN↑+Cre→

   腎前性高窒素血症

   BUN誤りの高値(生産増加)

      食後

      高たんぱく食

      消化管内出血

      組織異化亢進(上記)

   Cre誤りの低値

      筋肉量減少(悪液質)

 

 Cre↑+BUN→

   腎疾患

   BUN誤りの低値

      肝不全

      PUPD

      低たんぱく食

   Cre誤りの高値

      筋肉の崩壊(筋炎)

      調理肉食 

 

Cre

 上昇・・・GFRの減少

       腎前性、腎性、腎後性

      アーチファクト

       溶血

       高脂血症

       薬剤性(アスコルビン酸、セファロスポリン、バルビツレートetc)

 

 低下・・・筋肉の減少

      妊娠

      アーチファクト

       高ビリルビン血症(T-bil>10mg/dl)  

   

        

ALT

ALT

 高値・・・肝細胞壊死または肝細胞膜の透過性亢進

        低酸素血症

        肝細胞壊死

        肝臓血液潅流の低下

        急性膵炎

        創傷

        腫瘍

        犬伝染性肝炎

        敗血症

        肝硬変

        薬剤性

        胆管肝炎

      

ALP

ALP

 上昇・・・グルココルチコイド誘発性アイソザイム(犬)

          ストレス

          副腎皮質機能亢進症

          グルココルチコイド

      骨の成長期

      胆汁鬱滞

      胆管炎

      抗けいれん薬誘発性アイソザイム

      バルビタール投与

      腫瘍(骨肉腫、乳腺混合腫瘍etc)

 

Glu

GLU

 高値・・・ストレス

      糖尿病

      プロジェステロン過剰

      成長ホルモン過剰(先端巨大症)

      副腎皮質機能亢進症

      クロム親和性細胞腫(副腎髄質腫瘍)

      医原性

        ブドウ糖投与

        グルココルチコイド

        プロゲステロン

 低下・・・肝不全

      敗血症

      トイ種の新生児低血糖

      狩猟犬の低血糖

      アジソン病

      飢餓

      腫瘍(インスリノーマ、肝癌等)

      グリコーゲン貯蔵病

      医原性(インシュリン)

      測定ミス

  

T-cho

T-cho

 上昇・・・食事性

      クッシング症候群

      甲状腺機能低下症

      糖尿病

      胆汁鬱滞

      急性膵炎

      ネフローゼ症候群

      シュナウザーの遺伝性高脂血症

Amy

Amy

 上昇・・・膵炎、膵壊死、膵腫瘍

      膵管閉塞

      腎疾患

      前立腺炎

      小腸炎

      糖尿病性ケトアシドーシス

      肝臓癌

 

Lip

Lip

 上昇・・・膵炎

      膵組織壊死

      腫瘍

      腎疾患

CK

CK

 上昇・・・筋損傷

      筋炎

      変性性筋疾患

      心筋梗塞

LDH

LDH

 高値・・・肝、腎、筋肉、その他細胞壊死

      腫瘍

      アーチファクト

        溶血、分離遅延

血液凝固系検査

APTT・・・活性型部分トロンボプラスチン時間の事。内因系スクリーニングに用いられる。(11,12因子を活性        

      化する活性化剤を血漿に加えてフィブリン析出するまでの時間)

     延長:血友病A.B、先天性第12因子欠乏症、先天性第11因子欠乏症、肝硬変、ヘパリン治療中

PT・・・・プロトロンビン時間。外因凝固系スクリーニング(カルシウムとトロンボプラスチンを血漿に加え

     てフィブリン析出するまでの時間)

     延長:先天性7因子欠乏症、肝硬変、ワーファリン服用

     両方延長:先天性無フィブリノゲン血症、先天性異常フィブリノゲン血症、先天性プロトロンビン

                                       欠乏症、先天性第5,10因子欠乏症、DIC

Fib・・・血栓形成の中心的役割を担う他に炎症や創傷治癒に関与している。出血傾向や血栓形成傾向のスク

     リーニング

     高値:炎症、悪性腫瘍、妊娠等

     低値:低フィブリノゲン血症、重度肝障害、DIC、大量出血、線溶系亢進、血栓症

CPKアイソザイム

・異常値
CK-BB:脳疾患(ウイルス性髄膜炎、急性脳損傷、中枢神経手術後)悪性腫瘍(前立腺、膀胱、消化器、乳腺、肺など)→MRIへ
CK-MB:心筋の疾患(心筋梗塞、心筋炎、開心術後)筋ジストロフィー※心筋梗塞の場合、血中濃度が発症3-4時間でピークを迎え3、4日で消失する。ECGよりも特異的に診断出来るとされる。→超音波心臓
CK-MM:筋原性疾患(横紋筋融解症、挫滅症候群、多発性筋炎、皮膚筋炎、筋ジストロフィー)、痙攣後、甲状腺機能低下症→筋電図、筋生検

備考:外注検査の検体の安定性(どのくらい正確に結果が出るか)