血漿浸透圧(Posm)[mOsm/l]
={血漿Na濃度(mEq/l)+血漿K濃度(mEq/l)}×2+血糖値(mg/dl)/18+BU
N(mg/dl)/2.8
尿浸透圧(Uosm)[mOsm/l]
=(尿比重×1000-1000)×36
~臨床学的意義~
Posmに対するUosmの割合は糸球体濾液に対する腎臓の濃縮能力の指標(Uosm/Posm)
水制限した正常犬・・・Uosm/Posmが7以上
末期腎不全・・・・・・Uosm/Posmが1
純粋と比較した尿の重さ。純粋の比重は1.000である。血液から糸球体へ体液が送られ、そこで濃縮が起こる。糸球体濾液の比重は1.008~1.012であり、尿比重検査の結果がこれ以下である場合、糸球体濾液が希釈されていることを表し、これ以上である場合は腎臓での濃縮が起こっている事が分かる。このことから、本検査は腎臓の濃縮能力の目安とされている。しかし、生活環境要因、生理的条件、食事飲水の条件に影響をうけるので他の所見との総合診断が必要となる。尿温度が3℃変化するごとに比重は0.001上下する。そのため尿温度により補正が必要である。
≪補正式≫
d20=d+(t-20)/3000
d20:20度に補正した比重、d:比重計の値、t:尿温度
~臨床学的意義~
1.008~1.012を下回るケース→水利尿
①下垂体性尿崩症
②腎性尿崩症
③心因性多飲多尿症
1.008~1.012と同じ→固定比重(fixed specific gravity)
①慢性原発性腎不全etcの尿濃縮力不全
尿中水素イオン濃度の事。そのため有機物の混入による誤差を免れられない。
尿PHは食事による影響が大きく、雑食~肉食である犬猫では酸性~弱アルカリ性をしめす。
①炭水化物中心の食事でアルカリ性、蛋白中心の食事で酸性を示す
②蛋白異化亢進状態(発熱や飢餓)→体液がアシドる→酸性尿
③食後→胃酸分泌→血液が一過性アルカロ→アルカリ尿
④薬品による→メチオニン1g/head/day or 塩化アンモニウム0.8g/head/day(長期
使用で代謝性アシドーシス)
※奇異性酸性尿(Paradoxical acid urine)
体液がアルカロっているのに酸性尿を示す状態。
ex:重度消化器疾患(血液アルカリ+血漿KCL低下→腎遠位尿細管でKCLの再
吸収→その代わりに水素イオン放出)
※遠位尿細管アシドーシス(Distal tubular acidosis)
遠位尿細管の水素イオン排泄障害により、アシドる病気。これにより尿は逆にア
ルカる。アシドる疾患がないのに持続性アシドーシスを示すことや、血漿K濃
度、血漿アルドステロン濃度、尿PH、アンモニウムイオン排泄率、重炭酸イオ
ン排泄率で診断できる。
※尿路感染症(UTI)
起因菌により酸性にもアルカリ性にもなりうる。
酸性・・・大腸菌、クレブシエラ、緑膿菌、腸球菌、ストレプトコッカス
アルカリ・・プロテウス、スタフィロ
腎前性蛋白尿、腎性蛋白尿、腎後性蛋白尿に分けられる。
1腎前性蛋白尿・・・正常な腎臓なのに、糸球体バリアを通過する低分子蛋白質が
体の中で増える事から発生する。
ex:ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿、Bence jones蛋白尿
2腎性蛋白尿・・・①機能性蛋白尿(=一過性腎毛細血管透過性亢進):
ストレス、過度な運動、極度な環境温度、発熱、腎充血
②病理学的蛋白尿(=腎疾患性):糸球体性と尿細管性がる。
糸球体性:アルブミン(66000ダルトン)等の尿中出現→重
症化すれば蛋白漏出性やネフローゼ症候群
尿細管性:糸球体でろ過された低分子量の蛋白が近位尿細
管で再吸収されなかった場合→軽微な蛋白尿
3腎後性蛋白尿・・・下部尿路疾患や生殖器からの出血や尿路腫瘍
~評価法~
尿ペーパー蛋白(ー)→陰性と解釈してよい
尿ペーパー蛋白(±~+)→遠心尿1mlを検査センターのUPC(尿たんぱく濃度/
尿クレアチニン濃度)に実施する。
UPCが信頼性高い。膀胱炎などでも尿たんぱくは陽性とでうるため
可能であれば二回実施し、共に5を超えている事を確認いただきたい。
準備中